システム刷新で負荷のかかるアクションを排除し人事部門のデジタル変革をスムーズに推進

 

 

大手総合建設会社の竹中工務店は、「デジタル変革により2030年に目指す姿」を策定し、その実現に向けた取り組みの一環として人事システムの刷新に着手しました。また社内外環境変化をふまえた数十年ぶりの人事制度の全面改定に取り組みました。人事システムも人事制度も2022年4月に同時に変わるという従業員にとって大きな変化対応を迫られるなか、全従業員が利用することになる2つの人事系システムにWalkMeを実装し、全社に先駆けて人事領域での導入を完了しました。導入後は、マニュアルレス、トレーニングレスで新しいシステムを迷いなく利用できるようなり、問い合わせ件数の減少と申請業務にかかる時間の大幅な削減が期待されています。

WalkMeなら、マニュアルを検索したり、膨大なPDF資料やFAQを閲覧したり、サポートデスクに問い合わせしたりといった従業員一人ひとりの能動的なアクションに頼らずに済むだけでなく、従業員にとって時間的・心理的負荷の高いアクションを強要することもなくなります

串崎 修氏

人事室 制度企画運用グループ長

 
 

デジタル変革による変化対応で業務の効率化が大きな課題に

 

 

1610年の創業以来、建築を専業としてきた総合建設会社の竹中工務店は、ランドマークとなる数多くの建築物を手掛け、社会発展の一翼を担ってきました。設計と施工とを一貫して請け負うことこそが建築の本来の姿であるという信念を示す「工務」、お客様への奉仕を第一義とする「店」を組み合わせた「工務店」という名前には、お客様の想いを第一に考え、想いをかたちにすることに絶え間ない努力を重ねてきた確固たる意思が込められています。同社が目指すのは、今の時代はもちろん、次の時代も、その次の時代も「最良」と言われるような作品を生み出すこと。その代表的な作品には、国立劇場、東京タワー、有楽町マリオン、東京ドーム、東京ミッドタウン、新丸の内ビルディング、あべのハルカス、チャンギ国際空港ターミナルなどがあります。

 

同社では、建築事業において「デジタル変革により2030年に目指す姿」として、「お客様の課題解決と事業機会の供出」、「建築とそのプロセスでのサステナブルな価値提供」、「圧倒的なお客様満足を生み出す高品質・低コスト・高効率なものづくり」の3つを策定。その実現に向けて、「デジタル化による事業の変革」と「デジタル化による業務の効率化」の両輪でICT戦略を推進しています。こうした会社全体のデジタル変革の大きな流れを踏まえて、人事領域でも、人事システムの刷新に取り組む事になりました。

 

また、人事制度に関しても「働き方改革と生産性向上」「社員の年齢構成の変化」「デジタル化に伴う必要な知識技術の変化」の3つの背景を踏まえて、人事制度の全面改定をおこなう事になりました。

 

「人事システムの刷新は、ICT戦略に基づくデジタル化施策の一つであり、ホストコンピューターで稼働している人事・会計などの事務系基幹システムを、クラウドサービスを活用した新システムに刷新し、業務処理のリアルタイム化によるスピードの向上、ペーパーレス化、多角的なデータ活用を推進しようという取り組みのひとつです」と竹中工務店の串崎修氏は説明します。

 

実際、2000年代前半に導入した統合システムとホストコンピューターが併存していたことでデータが分散し、効率的な利活用が困難であったことに加え、依然として紙やExcelでの対応が残っており、デジタル化による業務の効率化は喫緊の課題だったと言えます。

 



株式会社竹中工務店  人事室 制度企画運用グループ長 串崎 修氏 (右)
株式会社クリエイト・ライフ  特定課題対応グループ  チーフエキスパート 矢倉 由香子氏(左)

 

全従業員の変化対応においてWalkMeが果たす役割を期待

 

人事システムの刷新と数十年ぶり規模となる人事制度の全面改定という2つの大きな変化を前に、これらが同時稼働する2022年4月に向けて従業員約8,000名の対応が求められることになった同社は、次の2点を重要視しました。1つは新しい人事システムを全社員がスムーズに操作でき、生産性向上に寄与すること。2つ目は、新しい人事制度の効果的な浸透と定着を図ること。「人事システムは全従業員が利用するものであり、従業員がそこに費やす時間を極力最小化すると共に、人事部門自体の問い合わせ対応や説明対応の工数を削減したいという思いがありました。また、従業員が操作することに追われることなく新しい人事制度の意味を理解し、スムーズに実践できるようにしたいと考えていました」と串崎氏は補足します。

 

同社は、この2点の実現を強力に後押しするツールとして、デジタルアダプションプラットフォーム「WalkMe」の導入を決定。串崎氏はWalkMe導入の決め手をこう振り返ります。「WalkMeなら、マニュアルを検索したり、膨大なPDF資料やFAQを閲覧したり、サポートデスクに問い合わせしたりといった従業員一人ひとりの能動的なアクションに頼らずに済むだけでなく、従業員にとって時間的・心理的負荷の高いアクションを強要することもなくなります。複数システムをまたがった業務プロセスにも対応していますし、ステップ・バイ・ステップでのガイダンスにより、ユーザー自身では気付きにくかったり間違いやすかったりする場所で注意喚起してくれます。さらに、システムの定着度を分析できるのも大きなポイントでしたね。

 

この他に、システム側に手を加えることなくユーザーインターフェースの改善が可能であること、内製内作対応が可能で、ユーザーリアクション見合いで迅速に新しいガイドを追加できることなども評価されました。

 

大きな変化への対応を乗り越えるために、他部門に先行してWalkMeを導入を決めた人事部門では、ひとまず通勤定期管理システム「らくらく通勤費」(株式会社無限)と、人事主要領域をカバーする新統合システム「PeopleSoft・HCM Cloud」(日本オラクル株式会社)の2つのシステムに対してWalkMeの実装を進めていきました。WalkMe社の支援を受けながら構築を担当した竹中工務店のグループ会社であり人事・総務機能のシェアードサービスを提供するクリエイト・ライフの矢倉由香子氏は、「私はITの専門知識がほとんどない事務系社員です」と前置きした上で、「当社は社内に数多くのシステムが存在しているのですが、一つひとつのシステムで何ができるのか、その全体像を把握している従業員はほとんどいません。マニュアルを読まない、わからないことがあればすぐ問い合わせをする、という従業員が大半ですから、WalkMeに対する期待感が非常に高く、構築を担当する私としては非常にプレッシャーでした」と語ります。

 

コツをつかめば設定もスムーズかゆいところに手が届くツール

 

「らくらく通勤費」も「PeopleSoft・HCM Cloud」も新規に導入するシステムであり、全従業員が初見です。しかも、どちらも利用頻度が低いという特性があり、操作に慣れない可能性が予測されました。そこで、構築にあたってはKPIを設定し、WalkMeで実現したいことの優先順位を明確化。旧システムで多かった問い合わせ件数の減少、従業員が申請にかかる時間の短縮など、目標を可視化してからプロジェクトを進めていきました。

 

WalkMe社が作成したサンプルに基づいて構築を進めたという矢倉氏は、「WalkMeの構造と機能を理解し、最初のコツさえつかんでしまえば、それ以降は構築スピードがぐんと上がりました。まるでパズルのようで、触りながら体で覚えていく感覚で楽しく設定できました。また、当社のルールに沿って申請を促すというシステム側での対応が難しい設定もでき、かゆいところに手が届くツールだと感じました」と語ります。

 

 

2つのシステムでの実装が完了した今、改めてWalkMeがない場合とある場合を比較すると、その違いは歴然です。通常、初見のシステムでは、クリックする場所が複数あったり、入力項目が複数あったりすると、どこからスタートすればよいかわかりません。WalkMeの機能の一つであるスマートウォークスルーを利用すると、ステップ・バイ・ステップで顧客があらゆるタスクを正常に完了できるように、必要な時に画面上にガイダンスを提供してくれます。また、WalkMeで説明文を追加することもできるため、従業員が迷うことなく操作でき、入力内容の統一化も図れます。社員からは、WalkMeのガイダンスがなかったら、おそらく必要な申請が行えなかったという声も届いています。

 

 

さらに、「構築完了=最終形ではなく、適宜、改善や変更が行えるのもWalkMeの利点の一つですね。システムの本稼働後も、問い合わせが多いものについては注意書きを追加するなど、必要な対応を迅速に実施できています。また、システム上でのユーザー行動の分析を提供するWalkMeインサイトにより、利用状況の検証が行えるため、従業員がどこで躓いているかがはっきりとわかりWalkMeのどこを修正すればよいかも素早く把握できます」と矢倉氏。

 

人事部門での導入を突破口に全社展開への取り組みが進展

 

「一人ひとりのデジタルスキルのバラつきや、システムへの抵抗感、拒絶感は、デジタル推進が本来目指している導入効果に悪影響を与えかねません。また、導入時の説明会やPDFマニュアルによるオンボーディングは、理解や習熟に時間がかかるだけでなく、誤操作や誤登録の原因となり、生産性が低下します。また新しいシステムが本来有している有用な機能に気づかず利活用がされない状況も生じます。これらの課題は人事システムに限りません」と串崎氏が語るように、同社では、人事部門での導入実績をもとに全社展開を進める計画で、早くも他部門での実装検討がスタートしています。

 

「WalkMeの導入で、人事部門として武器を一つ手に入れた感覚です。とはいえ、人事システムへの実装もまだ道半ば。依然として従業員にとってのわかりにくさを残しています。引き続き従業員のシステム習熟度に応じた設定の改善や充実化に取り組みながら、さらにバージョンアップしていきたいですね」と串崎氏。今後は実装が完了した人事システムでの使用感についてアンケートを行い、さらに”操作を迷わない”構築を目指していく考えです。システム部門ではない人事領域での取り組みがWalkMeの導入効果を強く印象づける結果となり、全社展開の流れを大きく後押ししていると言えそうです。

 

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