DAPを基盤のアーキテクチャーとしてCoE体制を作りグローバルで全社DXプロジェクトを加速
~DAPはnice to haveではなくmust have

 
WalkMe事例
 

世界をリードするグローバル総合ICT企業の富士通は、全社DXプロジェクトにおいて基幹システムの標準化・共通化を進めるにあたり、定着化のボトルネックとなりがちな利便性との両立をWalkMeで実現。社内にはDAP推進チーム(CoE)を結成し、分析機能の活用により、個人の感覚に依存していた「使いやすさ」の判断を定量化し、誰もがスムーズに使いこなせるシステムを目指して改善サイクルを回している。約1年で10システムにWalkMeが実装され、グローバルにも展開中。実際に問合せ数が60%以上削減されたケースもあり、DXの取り組みを加速させるためのプラットフォームとして期待されている。

UXの入口となって操作性を一定レベルに引き上げるという意味において、DAPはオプションではなく、むしろ基盤とも言えるアーキテクチャーだと思います。

白鳥 章二郎氏

Digital Systems Platform本部 Enabling Technologies統括部長

 
 

 

 

サステナブルな世界の実現に向け、社会課題の解決を起点とした多様な事業をグローバルに展開する富士通株式会社は、2019年9月にIT企業からDX企業への転換を宣言。世界をリードするDXパートナーとしてお客様のDX実現を支援していくにあたり、自らがDX企業になるべく、部門・グループ・リージョンを越えて富士通グループの変革に取り組もうという動きだ。

 

2020年7月には、全社DXプロジェクト「フジトラ(富士通のトランスフォーメーション)」も本格始動した。その具現化に向け、データドリブン経営の実現を目指す「One Fujitsuプログラム」では、グローバルでのビジネスオペレーションの標準化を重点施策の一つに位置付けている。グローバル主要業務のすべてをグローバルで1業務1システムとして徹底的に標準化することが目標で、社内システム全般を統括する同社のDigital Systems Platform本部のミッションも、今まさに「グローバルでの標準化」が大きなテーマとなっている。



Digital Systems Platform本部 Enabling Technologies統括部長  白鳥章二郎氏(左)
Digital Systems Platform本部 Enabling Technologies統括部シニアマネージャー  古角博行氏(右)

 

しかし、標準化の進展に伴い利便性向上のメリットは限定的になっていくと白鳥氏は指摘する。
「“Fit to Standard”を大方針として標準化すればするほど、利便性は損なわれていきます。業務をシステムに合わせるとなると、どうしても使い勝手が悪い、使い方がわからないといったユーザーの声が避けられません。標準化と利便性とのバランスをどう取るかが重要な鍵を握ることになるわけです。どこまで手を加えるか、どの範囲にとどめるかのせめぎ合いで結局は利用者に根負けしてしまい、標準化したもののランニングしていくうちにどんどん個別化、複雑化していくケースは山ほど見てきました。複雑化を極めた末に、再び標準化への取り組みが始まるという歴史の繰り返しです。」

 

こうしたサイクルを止める有効な解決策として同社が着目したのが、デジタルアダプションプラットフォーム(以下、DAP)だった。

 

 

DAPなら、システム側に手を加えることなくユーザーエクスペリエンス(UX)の改善が自在に行える。前述の課題解決を模索する中でDAPを知ったという白鳥氏は、そのアーキテクチャーに高い可能性を感じたという。
「UXの入口となって操作性を一定レベルに引き上げるという意味において、DAPはオプションではなく、むしろ基盤とも言えるアーキテクチャーだと思います。」(白鳥氏)

 

製品選定を経て最終的にWalkMeの導入を決めたのは、グローバルサポートへの期待が大きかった。One Fujitsuの理念のもとで強く意識されているのは、国内ファーストではなくグローバルファーストである。今後DAPを基幹システムに実装していくとなると、各リージョンに対し、時差を越えたタイムリーなサポートが必須となる。WalkMeが世界35か国2,000社以上の企業に導入されているDAPの先駆者であることを考えれば、グローバル対応において他社より一歩リードしているのは明らかだった。

 

もちろん、機能面で同社の要件をクリアしていたことは言うまでもない。古角氏はDAPとしての製品の成熟度について、「WalkMeはガイダンスやナビゲーションの機能に加えて分析機能が充実しており、改善サイクルを回すためのソリューションとして非常に完成度が高い印象でした。導入してすぐに使えるという点もポイントでしたね」と説明する。

 

 

SalesforceにWalkMeを実装し、一定の手応えを得た同社は、SAP Concur、SAP S/4HANA、ServiceNow など、他システムへの展開を加速。1年余りで10システムへの実装を完了した。ユーザー数にして約8万人に上り、グループ会社を含む国内の従業員がほぼ全員利用している状況だ。これだけのスピード感を実現できた背景には、経営陣と一体となった社内プロモーション活動に加え、CoE機能としてDAP推進チームの立ち上げがある。

 

「WalkMeの実装対象は、全社員がグローバルで共通に使うシステムです。新しいツールの価値を短期間で広範囲に浸透させ、全社規模で導入を推進していくためには、CoEとして組織横断的なサポート体制が必要不可欠でした。社内で実際に使っている事例を見せることで説得材料になり、初めて導入する不安からも解放されます」と白鳥氏は語る。

 

WalkMeの社内展開が進むなか、実際に目に見える効果が出ており、なによりFit to Standardを実践できているという事実が、WalkMeの貢献度を物語っている。「WalkMeは特定のSaaS製品に限定されることなく、あらゆるWebシステムのUX向上に等しく貢献できる存在です。WalkMeがWebシステムの1機能のように見え、かつユーザーはWalkMeの存在を意識していないという意味では、インフラと言ってもいいのかもしれません」と古角氏。

 


 

導入時に期待した分析機能の満足度も高く、白鳥氏はその効果を次のように語る。
「システムの使い勝手は個人の感覚で判断してしまいがちです。これまでは『使いやすい』『使いにくい』と言われても、いったいそれがどの程度なのか、客観的に評価する方法がありませんでした。誰もがスムーズに使いこなせる状況を目指すためには、使い勝手の可視化、デジタル化が必要です。WalkMeなら利用状況の把握や操作ログの取得が可能です。今もまだ道半ばではありますが、個人間での利用頻度のバラつきや平均的な操作時間を可視化し、使い勝手を定量的に評価できる環境が整いつつあります。」

 

こうして分析結果をもとに問題点を特定し、誰もが同じように使いこなせる理想的なシステムの実現を目指して、スピーディーに改善サイクルを回している。マニュアルの作成やメンテナンスの負荷を考えれば、そのスピード感や労力は雲泥の差である。しかも、せっかく用意しても利用してもらえないマニュアルと比べて問題の解決効率が格段に向上するだけでなく、マニュアル作成やシステムのカスタマイズから解放される分、コストの削減効果は大きい。

 

「これらはWalkMeの手厚い支援に助けられている部分も大きい。適切な頻度で会話させてもらっていて、必要に応じて海外メンバーも入ってもらえます。本当に、寄り添って一緒に施策を進めてもらっている感じです。」と古角氏。また白鳥氏は「一言でいうと不満はない。」と評価。

 

 

WalkMeの導入により同社が目指すのは、マニュアルレスの実現である。そのためにも、WalkMeでコンテンツを作成するのは情報システム部門ではなく、業務部門であるべきだと白鳥氏は主張する。つまり、情報システム部門に対して利便性の向上を要求するのではなく、業務部門が自らの手で速やかに実装できる状況を作るということだ。ノーコードでコンテンツを作成できるWalkMeはそれが可能なツールであり、昨今の市民開発を促す動きにも合致している。また、業務部門が自らデジタル化の推進役となることで、単にマニュアルからWalkMeへの置き換えが進むだけでなく、DXの取り組みが加速することにもなる。

 

そのためにも効果の見える化は、当面の課題と言える。
「今後も、利用者数が多くインパクトが大きい領域を中心にWalkMeを積極的に導入していきたいと考えています。社内に成功事例を作り、追随させる狙いです。ただ一方で、効果の見える化は非常にチャレンジングな課題でもあります。問い合わせ件数が減ったのは本当にWalkMeがあったからなのか、新しい担当者のスキルが高いからではないのか、業務の閑散期だからではないのか、といったように因果関係の特定が難しいからです。この点に関しては我々にノウハウがないので、WalkMeの支援をいただきながら進めているところです。」(古角氏)

 

WalkMeが実装されたシステムを約8万人の従業員が利用するようになり、すでに重要な社内インフラとしてのポジションを確立しつつある現在、「社内にはまだまだ標準化すべき対象が数多く残っています」と白鳥氏。引き続きOne Fujitsuプログラムが対象とする新しいシステムへの実装を進め、海外への展開までが完了すれば、利用者はグローバルで12.4万人規模になる予定である。同社では、社内に用意したワークスペース内でグループ外の他社と仕事を進めるケースも増えており、まだまだ利用者が増える可能性もある。

 

また、既存のレガシーシステムには未着手であるとして、白鳥氏は、「レガシーシステムは高機能で操作が複雑なものが多いので、ブラックボックス化した結果、特定の担当者がいないと誰も使えないような状況は避けなければなりません。実はこうした領域にこそWalkMeが有効なのではないかと考えています」と期待する。同社のDX推進をグローバルに支えるWalkMeは、今後ますますその存在感を強めることになりそうだ。

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